高齢者とのコミュニケーションは、高齢者のメンタルを知り、それを配慮した上で進めていく必要があります。高齢者は加齢による認知機能や運動機能の低下により、様々な問題を抱えています。例えば、自己が置かれた環境にうまく適合できないと、見え透いたうそをつく、かんしゃくを起こすといったことが挙げられます。また、運動機能の低下に伴い、動作が遅くなる、円滑にできなくなるといったことが出てきます。また、退職や配偶者との死別といった強いストレスから強い喪失感にさいなまれていることもあります。他の年代と異なり、一人一人が歩んできた人生が大きく異なるため、価値観やこだわりに個人差が大きいのも特徴と言えます。
こうした点を踏まえて、高齢者とのコミュニケーションで大切なことがあります。それは人生の先輩として、高齢者を尊重し、相手の話を傾聴する姿勢です。過度にへりくだる必要はありませんが、まずは相手の話に耳を傾け、共感しようとする態度が相手からの信頼につながります。また、話しかける際は「おじいちゃん、おばあちゃん」ではなく、「〇〇さん」と個人として尊重するような言葉遣いが大切です。極端にゆっくりしゃべる、小学生に向けて話すような言葉を選ぶといったことは相手の自尊心を傷つけ、かえって態度を硬化させます。また、最初から話のわからない人と決めつけて、いい加減なことを言うのも相手の心証を悪くします。あくまで一人の人間として、相手を尊重することが重要です。